“記憶”との戦い
まだイントロ――
そう、ワシはまだ、この曲の扉を叩いているに過ぎぬ……!
音は断片的にしか掴めぬ。
覚えたと思えば、次の瞬間には指が迷う。
まるで、霧の深い森の中で地図を広げているような感覚だッ!!
……無理もない。
ワシはもう、50を過ぎた。
若い頃のように、すぐに旋律を掌に刻むというわけにはいかぬ。
だがッ!!!
それがどうしたというのだッ!?
歳月が重なるほど、音の重みは深くなる!!
遅くともいい、確実に歩めばよいッ!!
それがワシの流儀(スタイル)だッ!!
わずか数小節――
されど、なんと険しい登攀(とうはん)か……!
一音一音が、鋭い氷壁のようにワシを拒む……!
だが……ワシは登る。
どれほど冷たく、どれほど険しくとも、音を掴み取るまで手を離さぬ……!!
ちなみに、練習時間は一日20分――出社前の静かな時間だ。
限られた時間。
されど、その20分に全身全霊を注ぐことこそが、ワシの戦い方ッ!!
他の誰でもない、自分自身との勝負――
この20分が、ワシをつくる……!!
何が言いたいかというと
まだイントロ。まだうろ覚え。
50歳過ぎてるから、物覚えが。。
ほんの数小節なのに苦労する。
ちなみに練習は毎日出社前の20分くらい。
という事。
